法人の方向けに、確定申告で青色申告をする場合のメリットとデメリットをまとめました。個人事業主の方はこちらの記事をご覧ください。
青色申告は、白色申告に比べて得られる特典が多い申告方法です。青色申告を利用するためには条件があり、法人設立初年度の場合は設立後3ヶ月以内、もしくは設立した事業年度の終了日のどちらか早いほうの前日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。設立初年度以降の場合は、適用しようとする事業年度の開始日の前日までに申請書を提出する必要があります。
欠損金の繰越しと繰戻し控除
欠損金(赤字)が発生した場合は翌年以降に繰り越すことで、翌年以降の10年間に発生した事業黒字と相殺することが可能です。ただし、平成30年4月1日よりも前に生じた欠損金は9年間での相殺になりますので注意してください。![]()
逆に、繰り戻すことも可能です。前年は黒字で、申告年度は赤字であった場合はその赤字分を前年の黒字分に繰り戻すことで前年度分の所得税額の還付を受けることができます。(繰り戻すことができるのは前年度までです)![]()
少額の減価償却費に関して特例が認められる
中小企業が購入する30万円未満の資産(ソフトウェア等の無形減価償却資産、中古資産も対象)に関しては、購入時に一括で経費にできるという特例が認められています。ただし、年間での総額が300万円までと限られます。結局は償却期間を短縮しているだけなので通常の減価償却費と総額は変わりません。しかし、一括で経費計上できるので資金の乏しい法人設立間もない時期には有効ではないでしょうか。ちなみにここでいう中小企業とは下記の条件に該当する企業のことですので注意してください。・資本金が1億円以下の法人(但し大規模法人の子会社は除く)
・資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
法人税額控除制度
上記の中小企業が新品の機械や装置などを購入する際に掛かった金額の10%(資本金が3,000万円超の企業は7%)を法人税額から控除できます。ただし、不動産業や物品賃貸業は対象外です。具体的には以下のような要件の場合に、適用されます。
青色申告のデメリットと言えば、個人事業主の場合は記帳の手間を挙げることができます。しかし、法人の場合は白色申告だろうと青色申告だろうとパソコン・会計ソフトを使う法人が大多数でしょう。そのため、実質的な事務作業に大きな違いはなく、特にデメリットというものはないと言っても過言ではありません。
法人における青色申告のメリットとデメリットを紹介してきました。デメリットは実質的に存在しませんから、法人であれば、青色申告は必須でしょう。これから法人を設立予定の方は設立のタイミングで青色申告の承認申請書を併せて申請することをお勧めします。