税務会計
この記事は 2020/05/07 に投稿されました
青色申告のメリット、デメリット(個人事業主)
吉野拓朗
D-fasという会計コンサル会社の代表を務めています お客様に満足して頂くために「プロフェッショナルであること」をモットーにしています

個人事業主の方向けに、確定申告で青色申告をする場合のメリットとデメリットをまとめました。

青色申告とは?

青色申告とは、白色申告に比べると手続きが面倒な一方で得られる特典が多い申告方法です。所得額(利益)から最大で65万円もしくは10万円を差し引くことができる青色申告特別控除など、いくつかの税制上の特典が受けられます。青色申告を選択できるのは、以下の条件を満たす「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のある人だけです。

●新規に個人事業を開業した場合:

 開業後2ヵ月以内に、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出していること

●既に個人事業を開業している場合:

 3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出していること
  ※例えば2021年3月15日までに、2021年度分を提出する必要があります

事業所得
農業、漁業、小売業、サービス業などの事業から生じる所得
不動産所得
保有する不動産を誰かに貸したときに得られる所得
山林所得
山林を伐採または立木のままで譲渡することで生じる所得


青色申告のメリット

最大65万円または10万円の控除

青色申告で最も大きなメリットで、所得額(利益)から最大で65万円を差し引くことができます。これによって納税額を低減させることができ、節税につながります。

この特別控除は最大65万円の控除される場合と、最大10万円が控除される場合の2パターンが存在し、下記の条件を満たせば最大65万円の控除、そうでない場合は最大10万円の控除となります。

・不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること

・複式簿記で記帳していること

・申告時に、記帳に基づいて作成した損益計算書と貸借対照表を添付すること


ただし、2020年度からはe-Taxによる電子申告または、電子帳簿保存をしなければ最大65万円の控除額は55万円に引き下げられます

また、所得税の確定申告書の提出が法定申告期限(翌年の3月15日)を過ぎてしまった場合は、10万円までしか差引くことができなくなりますので、注意してください。


青色事業専従者給与を払うことができる

「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することによって、同一家計で生活している配偶者などの家族に対する給与の全額を経費計上することができます。ただし、その家族が下記の要件を満たしてる必要があります。

・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること

・半年以上その事業に従事していること(他の会社でも働いてる場合は認められないこともある)

・適用する年の3/15までに届出書を税務署に提出していること

・届出書に記載の金額の範囲内で、実際に給与が支払われていること

・業務内容に見合う給与であること


純損失の繰越しと繰戻し控除

赤字が発生した場合は翌年以降に繰り越すことで、翌年以降の3年間に発生した事業黒字と相殺することが可能です。赤字になりやすい時期(事業を開始もしくは拡大させている時期)には、ぜひ活用すべき特典です。

例) 申告年度の事業黒字が600万円、前年の事業は赤字200万円だった場合

税金の対象となる事業所得:400万円 = 600万円 ー 200万円 

逆に、繰り戻すことも可能です。前年は黒字で、申告年度は赤字であった場合はその赤字分を前年の黒字分に繰り戻すことで前年度分の所得税額の還付を受けることができます。

例) 申告年度の事業赤字が200万円、前年の事業黒字が500万円だった場合

繰戻し後の前年の事業所得:300万円 = 500万円 ー 200万円 


貸倒引当金の計上ができる

商品やサービスを先に提供し、それに対する代金を後払いで受け取ることがあります。その場合は、代金の未回収リスクが生じてしまいます。そのリスクに備えて貸倒引当金という名目であらかじめ損失計上しておくことができます。青色申告の場合はこの引当金を所得から差引くことができます。


家事関連費を経費に計上しやすい

家賃や光熱費などの費用で、業務に必要であるとされる部分は必要経費として計上できます。経費になるのは、あくまで仕事に係る部分だけなので合理的な割合を用いて「按分(あんぶん)」する必要があります。このとき白色申告と青色申告では経費にできる条件が異なります。

●白色申告の場合:

以下の2つを満たしていること

・家事按分の割合が限定的なこと

・業務に関連する割合が「50%超」、もしくは「明確に区分できるもの」

●青色申告の場合:

・業務遂行上必要とされる合理的に認められればすべての経費を計上することができる

家賃
業務で利用している床面積の割合
電気代使用時間または床面積の割合
電話代・インターネット料金
使用時間
車の減価償却費
走行距離

他にもガソリン代、インターネット代、電話料金なども按分することができます。

※「按分」とは家事上の費用などを個人用と業務用とに下記のような基準を用いて区別することをいいます。


更正の制限と更正の理由の付記

税務調査によって過少申告が疑われる場合などに申告の修正を税務署から求められる(更生)場合があります。白色申告の場合は帳簿調査を行わずとも推計によって、申告内容を修正すべきと判断されることがあります。つまり「ある月の人件費がこれだけ発生しているのだから、売上は〜ぐらいはあるはず。それに対して申告されている売上が少なすぎないか?」といったあくまでも推測の段階で修正すべき申告であると判断されてしまうということです。一方で青色申告の場合は、帳簿調査を行った上で申告内容を修正すべきと判断した根拠を明確に示さなければなりません。

また、その指摘に対して納税者が不服だと感じた場合には、税務署長に対して再調査の請求を行うことができるのですが、青色申告の場合は国税不服審判所長に対して直接審査請求を行うことができます。


青色申告
白色申告
更正の制限
帳簿書類の調査に基づかない更正の原則禁止
推計により更正を受けることがある
更正の理由の附記
更正される場合には、更正通知書にその更正の理由が附記される
更正の理由の附記は必要とされない
不服申し立て
更正の処分に不服があるときに、異議申し立てをしないで、直接審査請求が可能
直接審査請求することはできない


少額の減価償却費に関して特例が認められる

青色申告の場合は、購入金額が30万円未満の資産に関しては、購入時に一括で経費にできるという特例が認められています。ただし、年間での総額が300万円までと限られます。

白色申告
10万円未満:一括経費, 20万円未満:3年間で1/3ずつ経費計上, 20万円以上:耐用年数に応じて減価償却
青色申告30万円未満:一括経費, 30万円以上:耐用年数に応じて減価償却


青色申告のデメリット

青色申告のデメリットと言えば、何と言っても記帳の手間が挙げられるでしょう。青色申告の場合は複式簿記で記帳することが必須です。複式簿記は、すべての取引を借方と貸方に分けて記帳しなければなりません。簿記の知識が乏しい方にとっては面倒な話かもしれません。

しかし、最近はクラウド会計ソフトを利用すれば確定申告の工数を楽にすることができます。会計ソフトを使いこなすまでが面倒だと考える方もいるでしょうが、それを考慮しても余りあるメリットが青色申告にはあることをここまで読んだ方には理解できるかと思います。


まとめ

青色申告のメリットとデメリットを紹介してきました。節税の面から考えると、青色申告のメリットはデメリット以上に大きいですから、個人事業主の方で、「青色申告承認申請書」をまだ税務署に提出していない方は是非検討してみてください。



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