担当しているクライアントが個人で所有している車を法人へリースする形にしたいということだったので、その際に行った手続きについてまとめました。
そもそも、なぜ個人所有の車を法人へリースさせる話になったのかというと、クライアントである会社の社長さんが個人で所有している車を法人でも利用しており、それに係るガソリン代や駐車場代を法人で経費計上したいということがきっかけ。
車に係る費用を経費計上するためには下記の2点を満たさなければなりません。
1. 法人名義で車を所有していること
2. 法人の事業に係る費用であること
今回の案件では、すでに個人所有の車を法人の事業に係る目的で利用しているため、2の要件は満たしていました。そのため、1の法人名義で所有しているという条件を満たせば法人で経費計上ができることになります。
個人所有の車を法人名義の所有物とする方法は主に以下の2つです。
1. 車を法人へ売却する
2. 車を法人へリースする
個人所有の車を法人へ売却することで、車にかかる費用を経費計上することができます。
ただし、注意しなければならないのは売却価格の決定方法です。もし売却価格が適正な金額でないと、税務署に否認されてしまう場合があります。個人・法人の両方もしくは一方が明らかに利益を得ていると判断される場合がそれに当たります。
適正な金額を証明するためには、査定業者の査定価格や売却する車と同じ車種の中古車販売価格など客観的な判断基準が必要となります。
リースする場合も売却の際と同じく、リースする際の金額に注意しなければなりません。客観的なリース金額が証明できれば、その金額をリースの金額に設定しましょう。
今回私が担当した案件では、リースする方法を採用しました。ただ、リース対象の車と同車種のリース価格のデータが見つからなかったため、金額設定については年1月1日~12月31日までにかかった費用(車検・保険・自動車税・修繕費・Dep等)の合計で設定しました。「あくまでも個人に利益がでないようにする」という点に気をつけて行いました。
万が一利益が出てしまった場合、年末調整を受けている人で、給与以外の収入利益の合計が20万円以下であれば、確定申告は不要です。しかし、同族会社の役員が、その同族会社から給与以外の利益が1円でもあれば確定申告が必要ですので注意してください。
加えて、上記の内容を踏まえてリース契約書を作成しておきましょう。契約書がなければ当然ですが税務上はリースとみなされません。
今回は以上の手続きにしたがって、無事に法人名義として経費計上することができました。
個人所有の車を法人にリースする場合の手続きについて、売却する場合も踏まえて解説しました。リースする際の金額設定が適正で、かつ法人の事業に係る費用と明らかに認められる場合は、個人名義で所有している車を法人名義に切り替えることは難しくはありません。
ただし、車検・保険・自動車税・修繕費など車に係る費用を法人で経費計上できるのは大きなメリットですが、その一方で売却・リースに関わらず、発生した金額は個人は所得として計上しなければならないので、その点は注意してください。