税務会計
この記事は 2020/09/07 に投稿されました
WEBサイトの買収費用は経費になるの?
安田真之

私が担当しているクライアントが複数回にわたってWEBサイトの買収をされたことをきっかけに、WEBサイトの買収費用の税務的な取り扱いについて調べた。調べる前はWEBサイトの買収費用は何となく損金計上できるものと思っていたが、調べてみると実はそんな簡単な話ではなかったので、その内容をこの記事にまとめました。

ちなみに買収されたWEBサイトは買収費用が数十万のものから最大で数百万円のものまであり、いわゆる「まとめサイト」のようなものが大半で、記事の投稿や投稿された記事の検索ができる機能を持つWEBサイトが主でした。

WEBサイトの購入費用の損金計上に関する判断基準

WEBサイトの購入費用の損金計上に関しては以下の3点が判断基準となるようです。

 1. WEBサイトにソフトウェア機能が含まれるかどうか?

 2. 支出の効果が1年以上に及ぶかどうか?

 3. のれん償却の対象か?

1つずつ順に説明します。

1. WEBサイトにソフトウェア機能が含まれるか?

以前、国税庁のホームページでは「ホームページの制作費用の税務処理」について下記のような見解が示されていました。

通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。
ただし、ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。

また、制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却することとなります。

出典:国税庁ホームページ 平成24年4月 「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」

ここで注目すべきなのは、ソフトウェアに相当するものが含まれるのかどうかということです。

ソフトウェアとは何なのでしょうか?会計基準上は、「コンピューターを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム」と定義されているのですが税務上は明確な基準はないようです。そのため、会計基準での定義が実質的にソフトウェアの定義になっているようです。

この定義を少し具体的に説明すると、サーバーを介してデータベースやAPIなどとの情報のやりとりをするようなものが含まれるものと考えられます。

例えば、以下のような機能があるWEBサイトはソフトウェアに相当するものが含まれると言えます。

・WEBサイトの上に掲載されている商品を検索する機能
・WEBサイトに投稿された記事を表示する機能
・ユーザーにログインさせる機能
・外部のAPIから取得した天気情報をWEBサイトに表示させる機能

今回の事例では、記事の投稿や検索などデータベースとやりとりをする機能が存在するため、ソフトウェアと判断しました。

ここで気になるのが、国税庁の見解にあった「プログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産」という文言です。これはつまりWEBサイトの購入費用のうちソフトウェアに該当する部分を固定資産として計上するというものです。

今回の場合は、現実問題としてソフトウェアに該当する部分の費用とそうではない部分の費用に分けるのは非常に難しかったため、購入費用を全額資産計上とし、定額法に基づいて5年間で減価償却することにしました。もし合理的に説明できる理由があればソフトウェアに該当しない部分は一括で経費計上できるかもしれません。(過去の事例などを調べましたが明確な基準に基づいてソフトウェア以外を経費計上する例は見つけられませんでした。。)

2. 支出の効果が1年以上に及ぶか?

もし対象のWEBサイトにソフトウェアに該当する部分がない場合は、支出の効果が1年以上に及ぶかどうかを確認しなければなりません。

支出の効果が1年以上というのは、国税庁の見解にもあったようにWEBサイトの更新が1年以上行われない場合はその使用期間で償却する必要があるということです。しかし、1年以上何の更新もしないWEBサイトを購入するケースは少ないと思うので、基本的には全額経費計上でいいのではないかと思います。

3. のれん償却の対象か?

ソフトウェアに該当する部分がなくとも、のれん(資産調整勘定)が発生するかどうかを見なければなりません。のれん(資産調整勘定)とは、買収対象の企業や事業のブランド力や顧客ネットワークといった無形の資産価値を表します。WEBサイトを購入する場合は買収額からWEBサイトの有形資産評価額を差し引いたものが、のれん(資産調整勘定)となります。のれん(資産調整勘定)は、税務では5年償却と決められています。

ここで重要となるのは買収したWEBサイトが事業とみなされるかどうかという点です。その結果次第でのれんが発生するかどうかが決まります。事業と見なすかどうかは買収したWEBサイトが単体で収益を上げているかどうかによります。

もし買収したWEBサイトがアフィリエイトサイトであったりサブスクリプションによる定額課金サービスを提供しているものである場合は、そのサイト単体で収益を上げることが可能なため事業とみなされます。

事業とみなされるのであればのれんが発生するため、それを5年償却しなければなりません。のれんの金額は買収額から資産評価額を差し引いたものです。仮に買収額が1,000万円で、買収したWEBサイトの資産評価額が600万円の場合はその差額である400万円がのれんとなります。その場合は400万円を5年で償却する必要があります。

まとめ

WEBサイトの購入費用を損金計上する際には以下の3点をチェックしましょう。

1. WEBサイトにソフトウェア機能が含まれるかどうか?
2. 支出の効果が1年以上に及ぶかどうか?
3. のれん償却の対象か?

ただ、個人的にはWEBサイトには何かしらのソフトウェア機能を含むことが大半なので買収金額を固定資産として5年償却するケースが多いのかなと思います。したがって、1をまず確認することが重要だと思います。その上でソフトウェアを含む部分とそうでない部分の費用を分けることができる基準が明確であれば資産計上する部分と一括で経費計上する部分で分けれれば良いと思います。

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